鯉濃(8)


  「時の経過は分かりません。分かりませんがだいぶ待ちました。その時、あなたは鯉を食べました。その鯉は私の連れ合いです。一緒になって子供を宿して直ぐでした。連れ合いは姿をけしました。湖を離れたと仲間から聞きました。それは致し方ないことです。宿のお膳に鯉濃として出されました。子供を産んでから、もう一度、連れ合いに会いたくてずーっとずっと待ちました。きっと会えると思って。貴方の身体の中で生きている連れ合いに」